マンションやアパートの管理規約に「楽器可」とあり、演奏可能時間などのルールを守っていても、ピアノの音が騒音にならないか気兼ねをしてしまうもの。「思いっきり自宅練習をしたい!」という人は、近所迷惑になる前にぜひ防音対策を。ここではピアノから出る音について解説。防音対策を検討する際にお役立てください。
人はどれくらいの大きさの音を「騒音」と感じるのでしょうか。1998年に環境庁(現・環境省)が定めた基準値では、住宅地では昼間は55dB以下、夜間は45dB以下が、人が快適に暮らせる音の環境となっています。dB(デシベル)値が大きいほど大きな音です。ピアノの音は正面1mの位置で聞くと約80~90dB。地下鉄や電車の車内(80dB)や騒々しい工場の中(90dB)などと同じくらいの音ですから、注意が必要な大きさといえます。
音には空気中を伝わり窓や換気口などを通して聞こえる「空気音」と、床や壁などを伝わる「固体音」があります。ピアノの音が最も響くのは階下の部屋。これは、ピアノ本体が床と接していて、ペダルを踏んだときの振動音が床に響きやすいため。隣の住戸や上の階には、階下ほどは響きませんが、隣家の住戸との間の壁にピアノが接していたり、壁よりも遮音性能が低い窓のそばにピアノがある場合は、予想以上に広い範囲に音が漏れていることがあります。
音量調節が可能な電子ピアノや消音機能付きのアコースティックピアノなら、音漏れをぐんと抑えることが可能です。とはいえ、鍵盤を叩く音や、ペダルを踏む音は振動音として響くため、近所迷惑になることも。特に、周囲が静かな夜間などには注意が必要です。
木造よりも鉄筋コンクリート造のほうが、さらにコンクリート壁が厚いほうが音は遮断しやすくなります。ですから、壁の厚いマンションが騒音トラブルを防ぐうえでは安心。とはいえ、部屋の配置やピアノの位置など、さまざまな条件で状況は違ってきます。また、木造で防音性能が高い家もありますし、隣の家との距離があれば、音は気にならない場合も。ケースバイケースといえるので、ピアノを弾く場合は、防音対策をしておくのが安心です。