かくして、2011年6月に契約が成立。入居前に外部の舗装や床板の張り替え、水回りの移動はオーナー側の費用負担で改修してくれたものの、それ以外はほぼ手つかず。室内の壁や天井のほか、建物の外壁の塗装まで華奢なHarucaさんがほぼ1人で行った。引き渡し時には壁に穴が開いていたため、まずは板を張るなどしてベースを作り、その上からペイントしていったという。半世紀前の建物だけあって、なかなか骨の折れる作業だったようだ。
「『好きにしてください』と言っていただいたのはありがたかったんですけど、なんせDIYは初めての経験。最初は道具選びひとつにしても四苦八苦していましたね。ただ、幸いなことに母が職業柄、素材や道具にも詳しかったので、いろいろアドバイスしてもらいました。壁の穴を埋めるために水で溶かす和紙のような素材を使っているんですけど、それも母に教えてもらったものです。基本的に安い材料を使っているので、費用は総額10万円くらいで収まりました」
6月から週に3~4日、一日4~5時間の改修作業。仕事の合間をぬって3カ月間、ひたすらDIYに没頭した。
「特に苦労したのは天井。少し塗っては脚立を移動し、顔中ペンキだらけになりながら頑張りました(笑)。大変でしたけど、作っている間は毎日楽しかったです。茶色い壁を塗っていくうちに、みるみる明るい部屋に変わっていく。壁ひとつでこんなに雰囲気が変わるのかと驚きました。最後に絵を飾ったら、自分の空間ができあがった実感が沸きましたね」
改修前の様子。各所に築50年の傷みがみられ、やや暗い雰囲気だった
3カ月間は仕事をセーブしつつ作業に没頭。母親の力を借りつつ頑張ったという